CINRA.NET CINRA MAGAZINE CINRA RECORDS exPoP!!!!! CINRA MAGAZINE Volume17

ツクルの実験室

「デザインの魅力を伝えよう!」というコンセプトの元に立ち上がった連載企画「ツクルの実験室」。みなさんの身の回りに溢れているデザインを、ちょっと意識して見つめてみれば、そこには意外な面白さが隠れています。例えばほら、今読んでるこの文字。他に比べてちょっと、頭良さそうじゃないですか? デザインを見る楽しさに目覚めた瞬間、視界の中はパラダイス。生きてて良かった!って思えるような、素敵な出会いが目の前のどこかに転がっているかもしれません!!

第一回目
「スーパーのチラシをリ・デザイン!」

新聞の中、ポストの中。誰しもが必ずどこかで目にしているであろう「スーパーのチラシ」。やたら主張する数字(金額)や巨大な果物たちを相手に、如何にデザインするのか。デザイナーズチラシを目標に掲げ今ここに、若きデザイナー2名に「スーパースーパーのチラシ」を依頼する!

注文主:スーパーシンラ
「ヤングたちに向けた食料・生活品チラシが作りたい!!」
6/20 (金 )限定!!!!
シャケを特にプッシュしたい!
甘塩銀鮭 1切 \99
りんご 1個 \80
ブロッコリー \150
国内豚 小間切れ 100g \105
バナナ \135
こんにゃく \50
紫雲山の天然水 \88
※プリンターは事務所にある2色印刷機を使って欲しい!

プリンターは事務所にある2色印刷機を使って欲しい!

今回の実験者

チラシの機能を突き詰めて
新しい様式を提案したい

セキコウ
デザイン事務所で修行中の身。スーパーのポイントを6000円分貯めた経験有り。

今までの伝統を生かしつつ
その店独自の提案ができれば

諸星ア太郎
歴2年の新米デザイナー。雑誌、広告、WEB業界を短期間で点々とし現在デザイン事務所で印刷物とFLASHの担当をしている。

アピール・アピール・ピーアール!

あれれ、カボチャより石鹸の方がデカイじゃないか!
面積の限られた紙に意味を生み出す“レイアウト”の妙とは?

諸星ア太郎(以下ア):やはりスーパーのチラシを印象づけているものは文字の形、フォントが大きい気がします。なぜ一斉に世の中の人がこのフォントを使いだし、「チラシ」らしいイメージが全国に広まったのか不思議ですね。

セキコウ(以下セ):安っぽいのがいいのかな(笑)。手書き感が速報感に繋がってるのではないでしょうか。緊急!安売り!といったイメージというか。手書き感のある「POKUS」自体は凄くかわいらしいフォントだと思います。ただ、過剰にチラシに使われる事で「チラシ」らしい印象が根強くなっていてもったいないなと思います。現状のチラシの目的を考えるととても理に適った書体だと思いますがその印象が強すぎて。

ア:大きな文字や写真などのごっちゃり感もチラシの代え難いイメージになっていますよね。戦時中のドイツや日本の新聞ってぱっと見て、凄く黒く詰まった印象です。プロバカンダを押し進める為に文字やレイアウト等わざと黒く詰めて、緊急感、緊迫感を出したらしいのです。

セ:なるほど。今チラシ見るときの印象ってとにかくたくさんのものが安値で売られているっていう雑然感がありますよね。緊急感には近いのかも。一杯あるっていうスーパーとしての利便性を訴えたいのではないでしょうか。

ア:物が一杯のスーパーを表す為に、品物と価格の関係性をパターンとして繰り返す方法。まさにチラシになる気がします。就職活動の時にチラシ業界も受けたんですね。そうしたら一日5〜10件もチラシを作るらしいのです。限られた時間で一定のクオリティを出さないといけない。

セ:スーパーである以上効率の良さってのは必要でしょうね。理想はバイト君でも要領さえ覚えれば毎日作れるもの。それでいて魅力的なもの、って感じでしょうか。

ア:BLOGのテンプレートみたいですね。今、パソコンの普及で名刺等も自動制作が進んでいますよね。「デザイン」そのものの意味を忘れてしまいそうです。ソフトウェア(デザイナー)とユーザーみたいな関係でしょうか。

セ:そのソフトウェアの構築はデザインですけどね。現状は安さは伝わるし、見る人もそれを求めてるんだろうけど、商品の特色や利点等の有益な情報をシャットアウトしているとも言えるのではないでしょうか。

COLOR WARS

1〜2色で印刷されることの多いチラシ。コスト節約の手段であろうが、一見するとパンキッシュにもPOPアートにも見えるこの色彩。色と物はどう関係してくるのか、「伝える」事を通して探ってみよう。

セ:もうちょっと商品ありきで考えた場合だとフルカラーの方が物の表現では圧倒的に魅力はありますよね。

ア:2色では自然界の警戒色というか、黄色に黒とか工事現場のカラーのような攻撃的な配色が多い気がします。チラシは1000枚配って1件反応があると言われる程、訴求する確立が低い。その確立を上げようとしたら、より攻撃性を高めないといけないのかも。とはいえ紙やインクの条件が限られている事には変わりはないので、それを不自由ではなく贅沢なものとして考えられないでしょうか。

セ:刺身の写真を青色で刷っても贅沢ですかね??

ア:う、確かに。それでは何か良いアイデアで青い刺身をすばらしいものに変化させるという感じかな..。
逆になぜ今まで青い刺身で疑問をもたなかったのか気になります。

セ:うーん、他の方法がほとんど求められて来なかった事だと思います。でも、様式の良さ、悪さがチラシデザインにはあると思ったんです。一目でチラシって分かる文字の扱い、写真の処理など合理的で完成されていると思います。それ自体はすごいメリットだと思うのですがどうですか?

ア:一目で分かるのはすごく良い事だと思います。それが何であるかを一瞬で物語りますからね。でもやっぱり、チラシに必要なメッセージが欠けてしまっていると思います。それによってチラシであることは分かるけれど、どのチラシも同じになって...

セ:それが様式のデメリットで、精通した人間じゃないと差違にほとんど気付けないですよね。それでも似たようなチラシがどんどん作られるってことは、効果があるんだろうか?

ア:「伝える」という方法を物量作戦にシフトしている感はありますね。本来であれば紙に印刷するという事はメッセージを伝える行為ですが、それがスパムメールの様になっています。それでもニーズがあるから繰り返されているんでしょうね。

セ:それに変わるオルタナティブを提示したいですね。チラシ作っている人からみたら「チラ」ぐらいのものが「デザイン」になりそうな気が…しています。

セキコウ氏のスーパースーパーチラシ

伝えたいことを絞る(継続することで伝える)/販促によるブランディングの試み/ヤングの通う学校・雑貨屋・服屋などに置けるヴィジュアル/効率よく簡単に作れるフォーマット/大型店・同業種との差別化/ゴミにならない(裏面右上の丸に穴を開
けてファイリング、「食材の単語帳」に)/安売りだけでない商品の説明(消費者にとって有益な)…などを心がけて制作しました。手間をかける点を少しずらすだけで、様々なチラシの展開が可能なのではと思います。

ひとつひとつを大切にしながらも連載性があり毎日何が届くのか楽しみです。実用的でしっかりと情報を伝えていますし役に立つテキストからは情報だけではないスーパーとの身近さ感じます。1週間分で何かの献立完成!なども想像します。全部集めたい!

ア太郎氏のスーパースーパーチラシ

セレクトや価格は価値観。その店を価値観をもつ個ととらえ、その世界と現実という2つの面に分けました。表面は品物自体を並べて具体的なものを説明しています。裏面は店独自の価値観の世界で、様々な物が形態を変え共存しているさまです。3Dメガネを使用すれば立体にもなり世界感を広げます。表面から光で照らすと表面と裏面が一致し言葉も見えてきます。物と価値観が一致する瞬間です。店の価値観や唯一のものを現実と併せて提案すればより独自のPRできると思いました。

透かしで見せるというアイディアが素敵で、受け取るのが楽しくなるチラシだと思いました。店頭で3Dのメガネを配ったり、裏面のお絵かきを子どもに募集したり、色々と地域と繋がった展開も考えられそうです。

デザイナー2名によるスーパースーパーのチラシの実験いかがだっただろうか。
通して見ても、「チラシ」の合理的考えも結果的に事実世の中に浸透していて、より幅広く手軽に伝えてきてくれた功績はあるだろう。
しかし嘆かわしい事かな、私たちの世代に伝わりづらい現状のチラシは確実に「ダサい」存在である。よりメッセージを伝える事で「カッコイイ」存在に変化するのではないだろうか。デザインのポイントここにアリ。生活の中にはこのようにメッセージを意識する事でデザインが変わっていくものがまだまだあるだろう。携帯電話をおしゃれにしてもまだ気づいていない部分は沢山あるはず!
若きデザイナーの奮闘に20XX年のチラシ事情に期待大!!

ツクLAB - NEWS

今回のスーパースーパーチラシ
exPoP volme 14で限定20部配布中!!!

当日、会場CINRA物販コーナーにてお問い合わせ下さい。

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