CINRA.NET CINRA MAGAZINE CINRA RECORDS exPoP!!!!! CINRA MAGAZINE Volume17

group_inouインタビュー

Interview:柏井万作
Photo:柏木ゆか

FUJI ROCK FESTIVAL '07や、METAMORPHOSE '06など主要な夏フェスにも出演し、アルバムのリリースを待ち望まれていたgroup_inou。そんな彼らが遂に、ファースト・アルバム『FAN』をリリースした。このアルバムはきっと、2008年だけでなく、2010年代の音楽シーンを語る上でも重要な作品になるだろう。MCのcpと、トラックメーカーのimaiにお話を伺った。

<見出し>
リスナーが歌詞を聴いて
ハッとする瞬間があったらいいなと思いますね

<本文>
―待望のファースト・アルバムですね、完成おめでとうございます!

cp(c):ようやく出来ました。

―まずgroup_inouの歴史からお伺いしたいのですが、結成は2003年ですよね。お二人はどんなきっかけで出会ったんですか?

c:友達のライブを観に行ったら、その対バンでimaiが出てたんですよ。当時はバンドでドラムを叩いてて。それでその時、ぼくはバンド(uri gagarn)を始めようとしてて、ドラマーを探していたこともあって、彼に声をかけたんですよね。ドラムは断られたんですけど、そこから付き合いが始まったんです。

―imaiさんはその当時からソロ音源を作っていたんですか?

imai(i):その頃はまだ作ってなかったです。ずっとバンドをメインにやっていたんですけど、ぼくが19歳くらいの時にバンドが解散して。それでELECTRIBEって機材を買ってトラックを作り始めました。それですぐにgroup_inouの活動をやり始めて。

―じゃあ、いきなりあんなトラックを作り始めたんですね。それはちょっとビックリしました(笑)。

i:バンドを解散して一人になった時に買った機材だから、とにかく一人で出来るっていうのが楽しかったんですよね。ELECTRIBEってシンセが二つしか鳴らないんですけど、それでも工夫すれば何とでもなったし。それに機材1つあればどこでもライブが出来るっていうのは、すごく使い勝手が良かったですしね。

―確かにイノウはフットワークが軽くて、いいイベントに行けば大体出ている印象でした。でも、音源を出したのは2006年の『BPA』が最初だったんですよね。結成からはちょっと時間が空いてて。

i:そっか、そのくらいなんだ(笑)。それ以前はcpがuri gagarnを平行してやっていたから、イノウを本格的に始めたのは2004年の後半くらいですかね。音源を作るまで曲っていう曲がなくて。

c:もう全部、勢い任せでやってました(笑)。

―ライブも即興でやっていたんですか?

c:そうですね、自分の頭の中にあるものを、その場で組み合わせてやっていました。最近ようやく、音源をリリースして固まってきた感じなんですよね。だから当時は、スリルがすごかった(笑)。

―当時はステージ上ではなくフロアでやることも多かったですけど、盛り上がりが尋常じゃなかったですよね(笑)。スリルもあったし、とにかく圧倒的な臨場感で観ている人もどんどん煽動されていました。『BPA』と同時にリリースしたDVD『ONE CAMERA NO CUT』とか、その当時の貴重な映像ですよね。

c:ライブ映像があって、見てみたらこれイケるんじゃないかと思って出してみたんですよね。

i:それをHEADZの佐々木敦さんが気に入ってくれて、大学の講義で使ってくれたり。今回のフライヤーやジャケットを作ってくれた他社比社さんもそのDVDを気に入ってくれたみたいで。結構キッカケにはなってますよね。

―その2作品のリリースから、自主レーベルのGALを立ち上げたんですよね?

c:そうですね、それを出すためにレーベル作った感じですね。

i:外のレーベルさんからの誘いは『foods』(2006年9月発売)を出した後くらいからで、それまでは話も来てなかったんですよ。でもまぁそういうお誘いの話などを聞いて、自主レーベルのやる気が出ました(笑)。

―でも最近は「group_inou」の名前もかなり知られてきていますよね。ライブをやる度に知名度を上げていく感じでしたよね。

c:去年ぐらいからだと思いますね、「名前聞きますよ」って言われ出したのは。

i:良いイベントに出してもらってるのが本当に大きいです。

―そして、みんなが待ちに待った待望のファースト・アルバム『FAN』ですね。去年は年明けに『foods』のリミックス・アルバムを『System Kitchen』をリリースしただけで、新作音源のリリースは無かったですよね。ずっとアルバムを作っていたんですか?

i:そうですね。アルバムを作り始めたのが3月くらいからで、ちょうど1年間弱、11ヵ月くらいで。ずっと二人で集中して作ったというよりは、9〜10月くらいまでぼくがトラックを作っていて、そこからcpと合わせていって、ミックスなども含めて完成していきました。

―曲作りはやはりトラックが先に出来るんですね。

i:そうです。ライブ前に新しいトラックを聴いてもらって、そのままライブでやったりもしているんで(笑)。アルバム作りもぼくが先にトラックを作って、cpがそのトラックのイメージを歌詞にして、っていう作り方をしてます。そのやり取りを何回か繰り返しますね。

c:リリック(歌詞)が上手く乗らなかったものは、ボツになったり。

i:まぁボツになったら、ぼくのソロ用の曲になりますけどね! ムダは作りません(笑)。でも、今回のアルバムはスムーズに出来たんですよ。特に何か変わったわけではないので、単純なところでは、『foods』の時より音を良くしようと思ったくらいかな。クリエイティブな部分でつまずくことはなかったです。

―「音を良くしようと思った」時に、エンジニアを雇うという選択肢もあると思いますが、それでも敢えて自分たちでミックスするというのはこだわっている部分なんですか?

i:なるべくならぼくかcpのどちらかがやっていた方がいいと思っています。お金掛けてプロデューサーやエンジニアを立てれば表面上のクオリティはいくらでも上がると思うんですよ。でも、それは実力じゃない。そういうことやって、無理が出て、いなくなっちゃうバンドとか多いじゃないですか。自分たちでやるのは大変ですけど、多く見積もられることもないし、よりリアルな感想がもらえますからね。もちろん、いい出会いがあればやってもらいたいですけどね。

―『FAN』はある意味とてもシンプルで、聴きやすいアルバムに仕上がっていますよね。

i:無意識的にですけど、今回は二人の個性だけを盛り込みたくて、他の余計なギミックとかは必要ないと思いました。リリースに先駆けてライブで新曲をやってると、どんどんシンプルになっていくんです。そういう方が骨太になる。僕は前からcpの歌詞のファンなんで、それが一番いい形でひき立てば、と思ってます。

―楽曲がとてもメロディアスになったと思うんですが、何か変化があったのでしょうか?

i:昔の感じがより出るようになったんだと思います。uri gagarnははもともと歌があったし、それに今回はバラエティを持たせたいと思って、ミドルテンポな歌モノも作りたかったので。変化というよりは、必然的にそうなったんですかね。

―では特に、「ポップにしよう」ということでは無かったんですね。

i:ライブで感触の良かったものは取り入れてますけどね。狙ってやるというワケでもなく。

c:狙うんだったら、友情とか恋愛を歌った方がいいしね(笑)。

―そうですね(笑)。それでは逆に、どんなメッセージ性を込めているのか伺ってみたいのですが、例えば今回収録させてもらう「SHIP」の歌詞はいかがですか?

c:始めてトラックを聴いた時、パッと情景が思い浮かぶんですよね。それで…… う〜ん。

i:それを書いてるとしか言えないよね?(笑)

c:そう、そんな感じなんですよね。イメージを言語化しているだけで。何か具体的なメッセージ性というより、ぼくが思い浮かべた情景に対してみんなが何を思うのか? っていう。それは人それぞれ千差万別で、何通りも出てくると思うんですよ。

i:曲も歌詞も一つのイメージで固めたくはなくて。自分が人の曲を聴く時もそうですけど、自分でイメージを膨らませたいんです。でも最近の音楽を聴いてると、説明書読まされているような気分になりますよね。誰が誰を好きかどうかは分かるけど、何も感動出来ないというか。それに比べてcpの歌詞を見てるとやっぱりイメージが湧くし、それも日によって違ったものになる。曲や歌詞トータルでgroup_inouを聴いたとき、色んなイメージが浮かぶと思うし、それがgroup_inouにしかできないことだと思っているんです。そういうところ自体がメッセージ性かな、と思います。

―確かに、こちらがイメージできるだけの余白が残されている気がしますね。

c:その余地とか余白ってすごい好きなんですよね。表現するときにそれがあると、広がりますから。自然とそうなるんですけど。あとはもう、リスナーが歌詞を聴いてハッとする瞬間があったらいいなと思いますね。

―では最後に、今後の予定を教えてください。

c:4月6日に代官山UNITで自主イベント『PR』のvol.2をやって、その後レコ発ツアーをします。アルバムを聴いて、是非ライブに来てください。

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