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上野友之(劇団競泳水着)インタビュー
『第二期・トレンディードラマシリーズ三部作』と銘打たれ、今年中に三本の本公演が予定されている劇団競泳水着。CoRich舞台芸術まつり一次審査突破、王子小劇場『佐藤佐吉演劇祭』参加と、外部からの注目も高まりつつある中、かつてないほど精力的な展開を見せている。“トレンディードラマ”を自称し、月9顔負けの上質なラブストーリーを描き出す唯一無二の作風で2008年の小劇場界の話題を集める脚本・演出の上野友之さんにお話を伺った。

―まずは、劇団の名前の由来から教えて頂けますか?

劇団名はインパクトが強くて覚えやすくて、ちょっとエロくてキャッチーなのがいいなと考えていたんです。その時に、泳げないのにたまたま水泳の授業を取っていて、水泳の授業なんで競泳水着を買わないといけなくて。『競泳水着』って言う単語の響きがちょっとエロいし、覚えやすいしいいかなぁと思って。
でも本来、競泳水着はデザインも機能もとても優れているんです。パッと見ても、深く掘り下げて考えてみてもよく出来ている作品、という自分の目指すべき理想と重ねています。これは後付なんですけどね(笑)。

―敢えて自身の作品を“トレンディードラマ”と称しているのには理由があるのですか?

再演もした『別れても好きな人』という作品を最初に上演した時「これ、トレンディードラマみたいな話だね」という意見があって、当日パンフにトレンディードラマっていうコピーを入れたんですね。そうしたら『トレンディードラマ』っていうのが、今更なんですけど逆に覚えやすいというか。劇団としてキーワードが一つあったほうが覚えやすいかな、と。その程度なんですけど。
僕自身トレンディードラマをそんなに知ってる訳じゃないし、そこまで好きな訳でもないので、名前だけ借りて競泳水着独自のトレンディードラマをやりたいなと考えています。

―小劇場でトレンディードラマが見れるんだっていうのも新鮮です。

小劇場って、恋愛をテーマにするとそれを如何に表現するかっていうところに力を入れると思うんです。

―踊りで、とか。

そう。いかにデフォルメするかっていう、如何にそれを見せるかっていうところに。そういうのじゃなくて、普通にいわゆる少女漫画とかTVドラマでやってるようなラブストーリーをやってるところがあんまりないなと思って。僕は結局物語が書ければなんでもよかったんですけど、せっかくだから売りにしてしまえ、と。

―なるほど。次に『第二期・トレンディードラマシリーズ三部作』についてのお話をお聞かせください。第二期ということは、一期もあったということですか?

第一期は『エロサワ』っていう、爽やかな下ネタを合言葉に公演しました。エログロに対抗する形で「エロサワトレンディードラマシリーズ三部作」。だから今回は第二期にあたります。

―三部作をやる事にこだわりや理由はありますか?

やっぱり一つの公演をやるよりも認知度が高めやすいですよね。あとは僕としてもまとめてガチっとやってみたいという気持ちがあります。

―繋がりや展開などはあるのでしょうか?

大雑把に言うと四月の一本目は爽やかな恋愛の群像劇。そこまでドラマ性も強くもないし、春らしくほんわかほのぼのしたイメージで臨みました。逆に八月にやる二本目はドラマがどんどん展開していきます。しかも楽しいだけじゃなく、愛憎まみえた濃い恋愛ドラマです。

―二本目の時間帯は夜十時枠ですね。

そうですね、たぶん十時から(笑)。最後の三本目は、主人公の男女の、結婚から出会いまでの四年間を一年ごとにさかのぼっていく構成で見せます。全体としてみると二人を中心としたラブストーリーの枠内で、脇役の人たちも四年間という時間の中で何があったか、一人一人の人生がどう変わっていったのかという話。大げさに言うと人生とか世界とか一歩深いところに踏み込んでいきたいなと考えています。そういうシリーズ全体の流れはありますね。

―さわやかな恋愛から、もっと濃いところにいって、最終的に人生。

人生を描きたいというか、トレンディードラマといいつつ人間ドラマみたいなほうにいってみたいなと。

―劇作家ですね。上野さんは、構成が練ってあって隙のない、非常に完成度の高い作品をお書きになっていると思います。作劇法についてお聞かせ願えますでしょうか。

登場人物の大体の物語を決めたら、最終的に構成でどうみせるか、そこにもっていくためにシーンをどう並べたら良いかを考えます。舞台上でどうやったら一番格好良くてお客さんも入りやすいか、とか。
結構、表を作るんですよ。どの伏線をどこに貼るかみたいなのを表にして、でっかいホワイトボードに登場人物をマグネットで貼って。シーンを紙に書いて貼って、並べて。視覚的に考えたりしますね。

―演劇だけでなく様々なジャンルの脚本(映像など)に興味があるとお聞きしました。舞台での上演を目的とした『戯曲』を書くときに特に意識されていることはありますか?

映像的って良く言われるんですよ(笑)。だから逆に構成にしろシーンにしろ、どこかひとつ舞台じゃないと体感できない表現を入れるようにしています。臨場感っていうのはやっぱり演劇ならではだと思うので。映像的な構成なんだけど、それに舞台の臨場感を掛け合わせるっていうか。

―話題になる時期と、劇団の活動が活発になる時期がうまくかみ合っているように感じられます。作品の完成度の高さと劇団の運営全体の印象が被るのですが、何かお考えはありますか? 

いや、どうなんですかね。旗揚げしてから四年近くなるわけですけど、実際僕しかいないから。どうしても手が回らなくて、特に宣伝とかは悔しい思いをいろいろしてるんですよ。もっと人手があればいろいろできるのに。だから僕としてはもっと早く注目されたかったんです。でも、逆にそういうのが良いモチベーションになってるとも思いますね。
もちろん今も人手は足りないのですが、それでもある程度一緒にやるメンバーが出来てきて、その時期とちょうど多少名前が知れてきたのも重なって。今年は三部作シリーズのこのタイミングでたまたまCoRich舞台芸術まつりの一次審査が通ったり、イベント公演『15minutes made』に参加することになったりして。それは運がよかったかな。流れが来てるとまでは思わないですけど、チャンスがきたらそこで一気にやってやろうって。

―では、次回八月の公演に向けての意気込みをお聞かせ願えますでしょうか?

『真剣恋愛』というタイトルです。物語に対して個人的な思い入れがすごく強い話で、それもあって物語を作るっていうことに関して今回かなり踏み込んでみました。その、演劇でしか味わえない感動というか奇跡みたいなものをちょっと頑張って掘り出したいなと考えています。冬もあるのですが、八月で燃え尽きるくらいの感じで。

―それはとても楽しみです! 最後に今後の活動に対する意気込みなどをどうぞ。

個人的にはもともと映像の脚本がやりたいっていうのがありまして。今年注目を受けて、映像や他の仕事も出来るようになりたいなと。そういった活動ができるようになったら金銭的にも経験的にも、演劇のほうにフィードバックしていきたいなと思っています。今年は多分、今まででは一番注目される年だと思うので、ちょっとつまらないこと出来ないな、というプレッシャーはありますね。とにかく面白い作品を作って、たくさんのお客さんに見て欲しいって、それだけなんですけど。

インタビュアー 今村圭佑(Mrs.fictions)

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