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お絵かき教室入門 〜濁ったその眼をザブザブ洗え!

いつからだろう、絵を描かなくなったのは。
子どもの頃は暇さえあれば絵を描いていた。絵を描くことは楽しいことだった。
思い出してみたい、あのトキメキ、絵を描く喜びを。そしてアートの魅力を。
就職活動に疲弊し、心を悩ませる大学4年生(男)が子どもたちと一緒にお絵かきをする。
神保勇揮、救済企画 お絵かき教室入門〜濁ったその眼をザブザブ洗え!

(取材協力:東京都北区・赤羽おえかきクラブ 構成:船田美希・柏井万作 撮影:柏井万作)

【編集長がぼくの肩をそっと抱いた】
社会という名の大海原への大航海を前に、ぼくは陸で溺れかけている。人並みにこなしているはずの就職活動に大苦戦しているのだ。

だが、クヨクヨするヒマも、自信をなくすヒマも、反省するヒマもない。ヒマがあってもしないからタチが悪い。うだつのあがらないぼくを見かねたCINRA MAGAZINE編集長がそっと肩を抱いた。

「神保くん、子どもたちとお絵かきしようか?」

いよいよぼくは精神をアレしてしまったのかと思った。うすうす気づいてはいたけど、やっぱりそうなのか。

「あ、はい。子どもは得意っスね〜」

流され流され、ぼくはどこに行き着くんだろう…。

【名門「東京都北区・赤羽おえかきクラブ」へ】
5月27日。今日ぼくは、「赤羽おえかきクラブ」に体験入学させてもらう。何度もテレビや雑誌に取り上げられている名門お絵かき教室らしい。自分がまだ子どもだった頃、お絵かき教室に通おうだなんてことは少しも考えなかった。むしろ、殺人的に絵がヘタクソなぼくにとって、初めて他人の目を恐れたのが「お絵かき」だったのだ。軽くトラウマである。
それ以来、お絵かきなんて何年ぶりだろうか…。今のぼくはどんな絵を描くんだろう。あのころ描けなかった絵が描けるのか、あのころ描けた絵が描けないのか。一進一退を繰り返すことは成長と呼べる? 不安だけが膨らんでいく中で、ぼくは赤羽おえかきクラブの扉を開けたのだった。

子どもたちとの対面〜いざ、お絵かき
笑顔で出迎えてくれたのは、「赤羽おえかきクラブ」を一人で立ち上げた杉浦さやか先生。「先生、ぼくは絵がヘタクソなんです」。善は急げとカミングアウトしたぼくを、「大丈夫ですよ」と優しい励ましてくれる。

教室ではすでに数人の子どもたちがエプロンをつけてお絵かきの準備を始めている。極めて賑やかだが、見慣れないぼくの様子をチラチラとうかがうことも忘れない。ぼくも彼らの様子をうかがう。なんだかマズい緊張感だな。

「せんせい〜早くかきた〜い」

全員が揃うまで待ち切れず、押さえられない欲望を口に出す子ども。ぼくの欲望はとてもじゃないが声には出せない。いや、そういう話ではなく、いいタイミングで空気を緩めてくれた。それに、子どもたちが絵を描くことに積極的なので驚きもしたのだ。習いごととして、「やらされてる感」がない。これから始まるお絵かきの時間をわくわく心待ちしにしているみんなと、まずはお友達にならなくては。

「今日はよろしくね」

「……、うん」

いけない、確実に違和感を与えてしまっているらしい。笑顔が嫌らしかったのだろうか。どうしよう。どうしようか。

「それでは始めます、みんな集まって」

杉浦先生のかけ声のもと、みんなが嬉しそうに先生のもとに集まっていく (救われた!)

先生が今日のテーマの話しをはじめる
先生はアルミホイルに色を塗って子供達の興味をひく、
子供達は、キラキラ輝く色を見て、目を輝かせる。
1. アルミホイルにマッキーで色を塗る
2. 色のついたアルミホイルを自由に切る
3. ちぎったアルミホイルを画用紙に貼る
4. その上から、画用紙に絵を描く
5. 水彩絵の具で色をつける
先生は、切ったアルミホイルを「何に見えるかな?」と子供達に問いかける。
どの家庭にもあるアルミホイルという素材から、どんな作品がうまれるのか?
 
ぼくはさっそく席に戻り、アルミホイルに向かう。「何色で塗ろうかな…」と考え出したら、フリーズしてしまった。固まっているぼくをよそに、子どもたちはみんな悩みもせずに勢いよくアルミホイルに色をのせていく。我に返ったぼくも意を決して何色か選び、恐る恐る腕を動かしてみる。子どもたちの声にまじって、マッキーとアルミが擦れる音が心地よく耳に届く。だんだんと動かしている腕に熱がこもり、気がつくとぼくは口元にうっすら笑いを浮かべていた(怪しい感じではない!)。どこか気持ちの中が満たされたような気がしたのだ。

満足げな顔をしているぼくを横目に勢いを増す子どもたちの創作意欲。負けてはいられない。アルミホイルを無造作にちぎり、画用紙の上に配置してみる。左に寄せようか、それとも真ん中に集めようか、う〜ん。ここにきて、そもそも自分が何を作ろうとしているのか分かっていないことに気がつく。それでも、決めなきゃいけない。子どもたちは悩まずにどんどん作業を進めているのに、ぼくはいちいち悩んでは隣を盗み見てばかりじゃないか。我に返るたびにいちいち悩んでどうする。こんなことじゃダメだぞ俺。

試行錯誤した末に、ぼくはアルミホイルのレイアウトを決めた。理由はないけど、ぼくの中で、これが一番“美しい”と思えたのだ。そしてすかさずペンを取る。漠然と自分の中に堆積している何かを描き出そうとしているようだ。自分自身の輪郭を描きだしていると言っていいかもしれない。面白いように筆が進んでいく。うお〜〜! ノリにノッてるぼくのエネルギーに子どもたちが反応してきた。

「なにかいてるの〜??」
「なに〜? これ??」

「ん?? なんだろうね〜」

言われてみれば、こりゃなんなんだろう? なんか変なモンスターみたいな…、でもどこかしらコミカルなタッチも存在してる。虫歯がはえているあたりが特にいい。子どもたちの共感をよんだのかもしれない。
しかしここで、大問題に気がつく。そのモンスターっぽい生物の足元に、踏みつぶされそうになっている棒人間が描かれていたのだ。こ、これは子どもの教育によくないんじゃないか…。何故そんなモノを描いたのか…? 無心で描いていたため自分でも解釈に苦しむが、たぶん、そういうことなのだろう。きょどった自分を制すべく、一呼吸しようと隣の少年の絵に目をやったその刹那、あまりの眩しさに目がくらんでしまった。画用紙は青く塗られ、海、空、太陽、やしの木…南国の雰囲気がはみ出さんばかりに描かれている。空を飛ぶのはカモメではない。アンパンマンだ。ああ、なんてキレイな絵なんだ。

絵が完成した
数年ぶりに絵を描いた。感想は人それぞれだろうけど、自分としては結構気に入っている。子どもの頃は、上手いか下手か、褒められるかどうかがお絵かきの全てだったけど、そんなことは対して重要じゃないのかもしれない。この教室ではみんな、自由にイメージを膨らませて楽しんでいた。話をきくと、みんなその絵の中に描かれたストーリーを教えてくれるのだ。

「このクラスは一番幼い子どもたちが入るところなので、まずは絵を描いて“楽しい!”と思って欲しいんです。そうやって何度も描いているうちに、自信がつくと思う。その自信は、子どもたちがこの先を生きていくのに役立ってくれると思うんですよ」

イキイキと絵を描いている子どもたちを見ていると、先生の想いが実を結んでいるのがよく分かる。この教室のお陰で、なんだかぼくも自信がつきました。明日からの面接ラッシュが楽しみだ。

帰り際、完成した作品を子どもたちに見てもらった。

「お兄ちゃんの絵、どう??」

「ん〜……(熟考中)、“おもしろい”かな?」

あれ、いまいちノリがよくないな。

「じゃあ、何点くらい??」

「ん〜……、70点くらいかな!(苦笑)」

子どもの目も、なかなかシビアだぜ…。

東京都北区・赤羽おえかきクラブ

今回お世話になった赤羽おえかきクラブの杉浦さやか先生は、ご自身も子どもの頃にお絵かき教室に通っていたそう。「でも小学校4年生の時、その教室が無くなってしまったんです。それが悲しくて、将来は必ず『お絵かき教室の先生になる』と決めたんです」と自分の夢にチャレンジし、1998年に「赤羽おえかきクラブ」を立ち上げた。今ではテレビや新聞、雑誌などで取り上げられる有名お絵かき教室になっている。

そんな「赤羽おえかきクラブ」、人気のため入会待ちの状態が続いていたのだが、今回の取材後まもなく教室をすぐ近くに移転して拡大したとのこと。大人から子どもまで、お絵かきや工作はもちろん、本格的な油絵まで幅広く対応してくれるので、興味を持った方は是非ホームページをのぞいてみてください!

「のびのびおえかき」「楽しくものづくり」

JR赤羽駅・北改札東側出口徒歩4分
東京都北区赤羽2-49-2 石井ビル202

・子供クラス(絵画・造形)
4才〜小学6年生 月・火・水・木・金・土

・絵画クラス(水彩・デッサン・油絵)
4年生〜中学生・高校生 月5時半〜 土2時半〜

・大人絵画クラス(水彩・デッサン・油絵)
火 1時〜

・親子クラス(おえかき遊び&ちょこっと工作)
2才〜未就園児さんとママ つき1回

★今なら、見学・体験参加可能です♪
★夏休みの工作企画参加者募集中です♪

 

おえかきクラブホームページ
「おえかきクラブ」と検索してください!
http://www5.ocn.ne.jp/〜oekaki/

お問合せは、お気軽にメールにて
nikoniko@isis.ocn.ne.jp

 

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