CINRA.NET CINRA MAGAZINE CINRA RECORDS exPoP!!!!! シンラマガジン

ツクルの実験室
普段気に止めないけれど以外と身近にある様々なデザインやアート。
その中身ツクル(作る)を改めて見つめ直してみれば
そこは道ばた、ポストの中、はたまた心の中?
普段とは違った現場や角度から、作るの中身をご紹介します!

Volume 2
「わくわくさんとわークショップ」
&インタビュー
withNHK教育テレビ、幼稚園・保育所向け造形番組
「つくってあそぼ」でおなじみ
久保田雅人 さん
ディスプレイの前の読者諸君、最近わくわくしてる?
大人になり「おつかれさま」が合い言葉になってしまった私たちの日常。いつこの気持ちを無くしてしまったのか...ふと思えば幼少の頃、TVの中で魔法のごとくおもちゃを作り私たちをわくわくさせてくれていた人がいた。そう「わくわくさん」だ。
連載第2回目の今回は、もう一度あのわくわくを取り戻すべく、「手を通して作る」を伝え、実践している「わくわくさん」こと久保田雅人さんのワークショップに参加し、作ることへの情熱をインタビューしてみた。

がようし 1 まいで、
せかいは こんなに
ひろがるんだ!

インタビュー 久保田雅人 さん

自分たちで物を作って「使い」、壊れたら直してまた「使う」

ワークショップに参加させていただいて、久保田さんの話のテンポや掛け合い方に、ご趣味である落語の雰囲気を感じました。

本当は噺家(はなしか)になりたかったのです。様々な「たまたま」が重なり今のわくわくさんになったわけですが、人前で話すということに変わりはないですね。
こういった場所以外にも幼稚園や劇場などにお伺いして、工作教室やショーを年間300〜400ステージ程度行っていますが、話し方に抑揚をつけたり注意を向けたり、色々な面で落語の要素を生かしています。

そういった面では初志を通していらっしゃいますが、久保田さんご自身はもともと作るのは好きだったのですか?

手遊びもしていましたし、プラモデルブームもありました。私たちの世代はもともと作るのが好きだと思います。でも少し後の世代になると完全に手遊びなど分からない世代になるのです。今の子供たちは何かしようと思っても材料がありません。たとえば竹ひごや今日の教室で使ったロウすら手に入りにくくなっているのは非常に残念なことですね。

そういった手遊びの魅力を知らない世代に19年間教えていらっしゃいますが、その中でわくわくさんが伝えたいことは何でしょうか?

昔は、自分たちで物を作って使い、壊れたら直してまた使うという繰り返しがありました。それが「物を作る楽しみ」ということだと思います。それを子供たちに遊びの中で伝えたいという思いがあります。

たしかに私たちの世代だと、壊れたらすぐに捨ててしまうかもしれません。

昔は、着れなくなった服は糸をほどいて鍋しきにしたり、最後はオムツにしたり。そこまで使い込んで初めて物を捨てていました。そういう流れが日本人の中に自然に伝わってきたのですが、今は途切れてしまっています。たとえば今の子供たちが使っているゲームなどの玩具は、直せませんよね。そのような生活の中で「もったいない」を教えようとしても無駄だと思います。今日も一枚の画用紙を使い切るということをしました。

「教える」というのは本当に難しいことだと思います。言葉ではなかなか伝わらないこともありますよね。

そうですね。だから物を「使い切る」ということを、子供たちに遊びの中で体感してもらいたいし、最終的には教室だけではなくて家でも作ったというのが大事ですね。番組に関しても、ただ子供たちが見て面白かったと思うだけではだめで、自分でやってみようと思ってもらわないといけない。それはわくわくさんの難しいところで、完成のないところです。

 

TVでは子供たちに自分で作ろうと思ってもらう為に、台本などは詳細にあるのでしょうか?

台本上では、『ゲームスタート、以下実況中継アドリブ、勝者「わーいやったーやったー」、敗者「くー残念」』これしかないのです。なんでそんなに簡単な台本なのかというと、「真剣にやって下さい」ということなのです。私たちが真剣にやらないと、子供たちも見ていて面白くないですよね。大人の段取りは子供には見抜かれてしまうんですよ。番組ではそういう意味でのリアリティを大切にしていきたいですね。

メッセージや見せ方は番組を始めた頃から変わらないのですか?

この方針はずっと変わりませんね。子供たちの身の周りにある物で、親子で作れる大きさが基本です。

今日も作ることを通して「おー」っという声が子供も大人からも聞こえていました。また、わくわくさんが教えてくれたものを使って別の遊び方をしている子供がいましたね。

それが子供の発想力ですね。逆に大人は、見方を変えれば色々なやりかたで遊べるという「応用力」や、物を作る時に大切な「ひらめき」を忘れてゆくのです。大人になっても感動を忘れて欲しくない、そうじゃないと暗い世の中になってしまいます。喜び、感動、驚き、悲しみ、人間の喜怒哀楽を持ち続ける人間になって欲しいですね。教室で覚えた感動を持ち続けて欲しいので、できるだけ大人も驚くものを少しずつ入れていきたいと思っています。出来不出来なんてどうだっていいのです。自分がやったという方がよっぽど大切です。それをいかに伝えるか、私もまだまだ模索の段階ですが少しでも突き詰めていけたらと思っています。

今回体験してもらった
Eriちゃんさん(21歳・大学生)のコメント

考えてみると、私達の遊びは多くが与えられたものなのだと思う。自分の楽しみを自分自身の手で一から作り出す。そういった経験が明らかに減っているのは実にさみしいものです。たった一枚の画用紙に自分の手をかけ自分やみんなで楽しむ、そこに『つくる』事の楽しさの本質があるのかもしれません。ちなみにできたおもちゃに、子ども達と一緒になって私たち大人も大きく歓声をあげたのはやっぱり手で作り出すわくわくに飢えているからなのかなぁ?

今回ご紹介したのはワークショップのほんの一部。
久保田さんが子供たちの目と自分の目を合わせ、作り、使い切る[遊ぶ]姿を見ていると、あたりまえに知っていると思っていたコミュニケーションや作ることが新しく新鮮に感じられた。これを読み終えた大人諸君、わくわくさんの言葉を感じながら、久しぶりに画用紙とハサミを手に、忘れたものを取り戻してみるのも悪くはないのでは?

Interview 諸星ア太郎 & Eriちゃん & 中村くん
Text 諸星ア太郎& 柏井万作

自動でウィンドウが開かない方は
コチラをクリック!