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素敵な本を紹介してくれる、素敵な本屋さん

 

どうせ読むなら絶対面白い本を読みたい!と思うなら、amazonよりも大型書店よりも、本気でセレクトしている本屋さんに行ってみるのが一番。しかもそういう本屋さんって、単純に本をセレクトしているだけではなかったりする。今回紹介する4つのお店は、「本屋」という空間の魅力、そして本が身近にあることの楽しさを教えてくれます。

 

 

 

百年
http://www.100hyakunen.com/

2006年の夏、吉祥寺にオープンした「百年」は2年と経たずに話題の本屋になった。大型の書店では見かけない厳選された本はもちろん、雑貨やCDなど、そのセレクトが評判なのだ。そして、店内で開催されるイベントも好評。重要な情報発信地のひとつになっている本屋さんだ。

 

百年のこだわり
吉祥寺に「百年」という名前の古本屋を2年前の夏に開いた。それまで新刊書店で勤めていた僕にとってまるっきり未知の世界だったが、飛び込んでしまえばあっという間に虜になってしまった。本の魅力もそうだけど、お客さんとのやりとりも楽しい。本の「売り買い」で繋がっていく。また、定期的に「百年と〜」というイベントを開催している。「と」には「場所」と「人」が8の字を描くように循環していってほしいという意味がある。百年が「コミュニケーション」の場所になっていけたらと思う。

百年おすすめの本
『ショートカット』柴崎友香 
〜「小説」ってなんだろうか〜
柴崎さんのほとんどの小説はたいそうな「物語」があるわけではなく、ある主人公の「日常」を書いている。しかも、その「日常」に人生訓はないし、小難しい思考もしていない。言ってしまえば、どうでもいいことばかりで、どうしてこれが小説なんだろうとさえ思う。けれど、この小説らしくない小説に、僕は濃密な「小説」を感じる。「ワープ」という短編で、大阪から表参道へ「ワープ」する。この「旅」による戸惑いや不安、自分探し的なものはない。あるのは「どこにでも行ける」という確信だ。この確信は「世界」を肯定しているからなのではないだろうか。こういう言い方だと保坂和志さんを思い出すが、あくまで保坂さんは発見するのだけど、柴崎さんはあらかじめそれを知っている。行く先が「ある」から行ける。この肯定する「力」が彼女の「小説」の秘密のような気がしている…、実のところ自信がない。なんとかその秘密を知りたいがために、僕は彼女の小説を読み続ける。

 

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気流舎
http://www.kiryuusha.com/

 

下北沢にある「気流舎」は、本屋であり、カフェ/バーであり、図書館であり、友達の家のようでもある。うるさい規則もなく自由な空間で、気に入ったら少しだけお金を落として行ってね、というのが気流舎のスタイルだ。自分の本を持ち込んで読んでもいいし、打ち合わせをしていてもいい。そのついでにちょっと、ここの本棚をのぞいてみてほしい。

  1. 気流舎のこだわり

まずなにより気持ちのいい時間と空間であること。おいしいチャイや珈琲が飲めること。それだけでもいいと思うけど、興味のある人は本棚も少し覗いてみてほしい。哲学・社会学・文化人類学・音楽・科学・サイケデリックス etc. それらは一見無関係のようでいて、じつは「新しい世界を構想するための本」という同じ匂いで選ばれています。60年代から続くカウンター・カルチャーを、あくまで現在進行形の、アクチュアルな思想として提示したい。知を生きたものとするために、読書会などのイベントも多く行っているので気軽に立ち寄ってください。

・気流舎さんおススメの1冊(200〜300字)
吉本ばなな『体は全部知っている』文藝春秋
誰も知らない本よりも、誰もが知っている作家の新しい読み方を伝えたい。カルロス・カスタネダはヤキ・インディアンのシャーマンに弟子入りした文化人類学者だ。彼の書いた記録集は当時ヒッピーと呼ばれる若者たちに大きな影響を与え、現代の霊性に目を向けるきっかけとなった。よしもとばななはそのカスタネダを愛読しているという。それを知って読めば彼女の作品はシャーマニックな世界観で彩られていることに気づくだろう。まばゆいばかりの光の描写は美しい。よろこびの光につつまれる瞬間は、ありふれた日常にこそあるのだと教えてくれる短編集。

 

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ガケ書房

建物に車が突っ込んでいる…。何だこの建物は!?と思ったら、そこは「ガケ書房」という本屋さんでした。そういう話しを京都旅行の土産話何度も耳にした。この本屋さん、本のセレクトもちろんだが、様々なアイディアやユーモアが店内に散りばめられている。「本屋」という空間の楽しさを教えてくれるお店だ。

たぶん、ガケ書房には目的の本はありません。
しかし、目的外の本がそこにはあります。

ガケ書房は、みんなで作る本屋です。
自分の棚も作れます。店頭でブックレビューも書けます。
ライブもやってます。自分の作品も売れます。
亀を放し飼いしてます。出張カフェなども受け付けてます。
誤解を恐れずに言えば、究極の普通の本屋を目指しています。

本屋は、ワクワクする空間です。
子どもの頃、そんな空間に僕は惚れました。
「発見」と「確認」と「開放」を棚に並べておきたい。。
童心の一歩手前までお客さんを導ければと思っています。

 

(おすすめの一冊)
 広瀬正『マイナス・ゼロ』

最近読んで時間を忘れたのは、広瀬正の「マイナス・ゼロ」(集英社文庫)でしょうか。いわゆるタイムマシン物のSF小説です。僕は、いや、僕らの世代は、タイムマシンという概念は「ドラえもん」で学びました。そこで時空のメビウスの輪をなんとなく理解しました。過去の自分を変えたり、未来の自分の姿を見たりする願望や不安を覚えたものです。

この物語は、1945年と1963年がつながる話なのですが、面白いのは主人公が少年時代の約束を記憶に残したまま戦後を迎え、それを確かめようとしてタイムマシンと遭遇してしまうところです。子どもの頃の記憶はどこかあいまいですが、その分いま思うと、不可思議な出来事や触れてはいけないタブーが含まれていたような気がするのです。そんな記憶の片隅にこびりついている出来事はもしかしたら違う世界への狭い入口なのかもしれないと思うと、個人的にひっかかっている「あのこと」をいつか確かめようかと今日も思い悩む僕なのでした。。
(ガケ書房店主 山下賢二)
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スタンダードブックストア

 

 

■スタンダードブックストアがこだわっている点

 

気になっているジャンルでありながら、それでいて思いもかけない本に出会えるように、文庫もハードカバーも写真集もごちゃまぜにして"形式"ではなく、"内容"ごとに棚を作っています。

どんどん長居をして、どんどん立ち読みして、また、カフェに持ち込んでコーヒーを飲みながら気に入る一冊を探して欲しいと思います。カフェのメニューもドリンクからフードまで豊富に揃えています。

ネットサーフィンもいいですが、 “この商品を買った人はこんな商品も買っています”もいいですが、リアルな"シェルフサーフィン"もいいものです。かの寺山修司も言いました。「書を求めよ、街へ出よう」でしたっけ?

 

 

■おススメの一冊

 

 藤枝静男『田紳有楽/空気頭』 藤枝静男著 講談社文芸文庫

あまりに自由奔放で奇妙な内容に衝撃をうけた作品です。頭を空っぽにする男の話『空気頭』をよんでいると、文章全体に白いモヤモヤがかかって視界がぼやけていくような錯覚を起こし、まるでクラフトワークの演奏で小学生が運動会をしている光景を見ているかのようです(そんなもの実際に見たことはないですが)。

『田紳有楽』は主人公が池の中に沈むグイ呑みという設定で、同じく池の中に沈む茶碗や飼われている金魚が登場して、奇天烈な物語を破綻をものともせずに展開していきます。

軽い内容のようでいて読後感はずっしりと思い藤枝静男の世界を一度ぜひ。

(書籍担当 平松司)
スタンダードブックストア書籍担当

バンド『粒子』のVo.&G.

 

 

 

 

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