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試聴&インタビュー付き!
才能溢れる注目のアーティストたち

 

実は日本って、世界からも注目を浴びる音響アーティストを数多く輩出している。そして今も、「エレクトロニカ以降」とも言える注目の新進アーティストが次から次へと飛び出してきているのだ。そこで今回、CINRAが胸を張ってオススメするアーティストに楽曲を提供してもらい、音源付きで紹介することにした。まずは是非それぞれの楽曲に耳を傾けて頂きたい。そして、あなたなりの旅に出かけてもらえたら幸いだ。

 

aus
ausは、東京で活動するYasuhiko Hukuzonoのソロプロジェクト。13歳の時にはすでに作曲を開始し、20歳になる頃には早くも「u-cover」や「music related」といった海外の有名レーベルからアルバムを発表していた。今回紹介するのは、国内リリース第一作目となった4thアルバム『Lang』からの1曲。前コンテンツであるNATURE BLISSインタビューの中でも話題になった通り、歌のない音響音楽としては異例の大ヒットを記録した作品だ。ちなみにこの作品を作り上げた時、彼はまだ21歳だったというからその才能は計り知れない。
この若さで他を圧倒する打ち込み/編集のテクニックもさることながら、幼少期から培われてきたソングライティング、そしてリズムとメロディーの卓越したセンスが素晴らしい。メランコリックな調べと淡く穏やかな曲調の心地よさが多くのリスナーを魅了している一番の理由だろうが、1小節ごとに変化していく繊細な音楽世界の深さには恐怖すら感じる。「エレクトロニカ」というのは音楽的手法の一つに過ぎないわけで、ausが語られるべき点はきっと、彼がその人生を通じて耕している創造力の奥深さだろう。だからもし彼が今と全く違う音楽性になったとしても、間違いなく素晴らしい音楽を届けてくれるだろうと信じられる、そんな本物の音楽家だ。

 

Tatsuhiko Asano
浅野達彦の名前は意外なほど知られていないが、実はかなりのキャリアと経歴を持つアーティストだ。それを物語るように、今年9月にリリースされた2ndアルバム『Spacewatch』にはレイハラカミや奈良美智といった大物アーティストが賛辞のコメントを寄せ、あのMOODMANがライナーノーツを執筆している。
14歳から自宅録音を始めていた浅野は音楽を作る一方で、美術のエリートコースともいえる東京藝術大学油画科を卒業(1991年)。1996年にはMOODMANが主催していた音楽レーベルよりデビューシングルをリリースし、2001年には“生ける伝説”アレック・エンパイアから熱烈なオファーを受け、彼が主催するDHR傘下のレーベルからファーストアルバムをリリースしている。
浅野の音楽には、ポップスのようにわかりやすいサビやメロディーの反復がない。むしろ小説や映画のように、色々な登場人物がその世界に何かしらの影響を与えながらストーリーが進行していく、といった類いの音楽だ。だから唐突に様々な音が現れては消えていき、穏やかだったと思えば急に嵐がやってきたりもする。音という登場人物たち、そして彼らが産み落としていく物語、そのひとつひとつが驚くほど見事に作り込まれ、強い光を放っているのだ。緻密な音響設計と、人が楽器を演奏する、その有機的な“揺れ”が持つ温もりを共存させた驚くべき作品。

 

cokiyu
ausの作品でゲストボーカルを、トクマル・シューゴ&ザ・マジック・バンドではトイピアノの担当している女性アーティストcokiyu。彼女も海外からの評価が先行したアーティストの一人であり、日本国内で注目を集めるまでに少なからず時間を必要とした。彼女の名前が知られるきっかけになったのは、aus と miyauchi yuriが主催するレーベルflauから2007年にデビューアルバム『Mirror Flake』をリリースしたことだろう。
音大を卒業している彼女は、ピアノや鉄琴などアコースティックな楽器の演奏に加えて、コンピューターを使ったエフェクティブなサウンド、日常に流れる音のフィールドレコーディング、彼女自身の優しいウィスパー・ボイスによって音楽を構築していく。今回収録した「Mirror Flake」を一聴して頂ければお分かりの通り、その音楽は歌もののポップ・ミュージックとして十分に通用するメロディーに富んだ作風だ。
今回紹介している4アーティスト全てに言えることだが、彼らにとって「エレクトロニカ」とは、これまでに聴いていた様々な音楽の1つにしか過ぎない。それでも彼らは便宜的に「エレクトロニカ」とカテゴライズされるのだが、このcokiyuの音楽を聴けば、「エレクトロニカ」というのが如何に幅広い音楽性を総称しているものかお分かり頂けるかもしれない。「Mirror Flake」は、エレクトロニカがポップスとして変化していく流れの中で生み落とされた名曲の一つなのだ。

 

MOTORO FAAM
MOTORO FAAMの結成は2003年。当時21歳だったMizukami RyutaとKobara Daisukeを中心に、現在はピアニストKato Ayumiを含む3人編成で活動している。今回紹介しているアーティスト全てに共通していることだが、彼らも海外での評価が先行し、2006年にはベルギーの人気エレクトロニカ・レーベル U-Coverからデビューアルバム『Fragments』をリリースしている。そして2007年、ausのリリースでも知られる日本のレーベルprecoより2ndアルバム『... and Water Cycles』を発表。今回収録したのは、同作の中の1曲である。
彼らの音楽は、現代音楽などクラシックの文脈で語ることもできれば、エレクトロニカやクラブ・ミュージックとして語られることもある、非常に珍しい類いの音楽だ。本人たちはそんなジャンル分けなど少しも気にしないだろうし、自分たちがやりたい方法でコンセプトを作品として作り上げているに過ぎないはずだが、要するにその自由度が何とも面白いのだ。クラシックも、クラブ・ミュージックやポップス、そしてエレクトロニカも消化した上で、圧倒的なオリジナリティーと完成度を誇る音楽を生み出している彼らは、世界でもトップクラスの音楽クリエイターだと考えて異論を挟む余地がない。中心人物であるMizukami Ryutaに彼らの真価を探るべくインタビューを行ったので、是非ご一読いただきたい。

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