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"思い出せない記憶が
生むような心地よさ

今年3月には「WONDER SEEDS」に入選、6月には小山登美夫ギャラリーにて展示など、その確かな技量と感性が頭角を現しはじめてる。11月には第4回府中ビエンナーレ(府中市美術館)に出展予定。

渡辺豊の作品は、どんどん「理解」することができない領域に向かっているように思えて、心地よい。それは、ちょうど昨晩見た夢を思い出そうとするかんじに似ていて、何かすごく印象深い夢だったような気がするんだけれども、一向に思い出せない。思い出そうとするほど、記憶は逃げてしまい、結局覚えているのは一瞬の光景だったりして、なぜその場にいたのかすらわからないという、不条理で、だけど浮遊感のような心地良さに酔いしれる。画面の構成や色彩、モチーフが、その心地よさを緻密に、そして感覚的に演出しているのだ。この作品の奥に、何か大切な物語が眠っているのだと感じる。でも、それを「理解」する必要はない。効率的な現代へのアンチテーゼという、偉そうでリアリティーのない主張なんかではなく、もっと個人の記憶の奥底に、ハっとさせるような怖さ(拒絶)と郷愁に似た懐かしさ(共感)を同時に提示しているんだ。

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