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マヒルノ インタビュー

 

CINRAでもたびたび取り上げてきたマヒルノが、つ〜いに公式盤をリリースする。どんだけ待ったか分らないけれど、とにかく「待望」のリリースであることに間違いなし。ということで、ギター&ボーカルであり作曲の核を担う赤倉・大竹両氏にお話を伺って参りました。このバンドが生み出す音楽は、現代のロックがどこかに置き忘れてしまった非日常的な世界観を、圧倒的なスケールで体感させてくれる。まだ若いにも関わらず、玄人まで唸らせてしまうロックバンド、マヒルノにご注目あれ!

 

人と同じだと嫌だし、予定調和がつまらないと思うし。
なんというか、それが音楽をやる上で基本な気がしますけどね。

 

―マヒルノ、遂に公式盤のリリースですね!自主制作盤がバカ売れしてたから、公式リリースを待ち望んでいた人も多いと思います。自主制作盤ってどれくらい売れたんですか?

赤倉:今まで出した3作の合計だと、二千数百枚は売ったと思いますね。

―それ、もの凄い数字だと思うんですよね。特にマヒルノの音楽性って、売れ線とは一線を画していると思いますし。

赤倉:ライブハウスの人とか、バンドマンとか、レコードショップの人とか、みんながプッシュしてくれたんですよね。メンバーに名の知れた人がいるわけでもないし、何の背景もないところから始めたバンドなので、すごくありがたいです。

―こんな個性的なロックバンドは他にないし、若いのに演奏も威力があって、「何だこのバンドは!」ってみんなが思ったと思うんですよ。とにかくオリジナリティーがありますよね。

赤倉:基本的にものすごい天邪鬼で(笑)。普通だったらこうする、というものにことごとく違和感を感じるんです。それで結果的に、どんどん変に、キテレツな感じになっていく。

大竹:人と同じだと嫌だし、予定調和がつまらないと思うし。なんというか、それが音楽をやる上で基本な気がしますけどね。

―もちろんみんな個性は求めると思いますが、獲得できているのは一握りの人たちだけですよね。

赤倉:他のバンドと比較されるような立ち位置には、あんまりいたくないんですよね。できれば、そういう物差しみたいなものが生まれないところで頑張っていきたいと思って。限りある一生の中で音楽をやっているんだから、ワンアンドオンリーなものを作りたいじゃないですか。それで、色んな人に気に入ってもらえれば本当に嬉しいし。

―飛び抜けたオリジナリティーを持ったバンドがなかなか出て来ない背景には、狭い範囲でバンドとバンドが影響され合い過ぎちゃっているような気もするんですが、マヒルノにはそういう「誰かの影」を感じないですね。

大竹:僕と赤倉は特に周りを気にしないですね。二人ともそんなライブハウスにも行かないし。僕は本当に好きなように、直感的に作るんですよ。音楽って肉体的なものだと思ってるから、あんまり深く考え込まないんです。その辺は赤倉とは対照的かもしれないけど。

赤倉:僕は歌詞も書くから考えて作る部分もあるんですけど、音楽から直接的に影響されることはほとんどないですね。本を読むのが好きなので、そういうところからインスピレーションを受けることが多いです。小説だと直接音楽には結び付かないから、受けた刺激を自分で翻訳するんですけど、そうやってワンクッションあったほうが使いやすいんですよね。

―今作だと、たとえばどんな小説から影響を受けているんですか?

赤倉:“橋”っていう曲があるんですけど、それはかなり直接的に引用していて、カフカの短編小説で『橋』という作品があるんですよ。影響されたポイントをすごい省略して説明すると、文章の語り手が、神様の目線っていうか、俯瞰した目線なんですよ。ところが突然、何の前置きもなく橋の目線にひっくり返るんです。自分の意思で橋がひっくり返っちゃった、という話なんですね。もともとこの曲は大竹くんがイントロのフレーズを持ってきて、そこに『橋』からのインスピレーションを重ねて、メロディーや歌詞を後から付けていきました。

―赤倉くんの歌詞は、マヒルノの世界観を表現する上で重要な要素ですよね。

赤倉:歌詞はメンバーが僕に任せてくれている部分だし、色々実験的なこともできて楽しいですね。今まで全部日本語で書いてたので、ちょっとエスペラント語とか試してみたいんですよ。

大竹:本当かよ(笑)。でも歌詞に関して言うと、よくこんな曲にしっかり関連性をつけて書いてくるなって感心しますよ(笑)。

赤倉:コーラスするメンバーには、まれに嫌がられたりするんですけどね(笑)。

―そうなんですね(笑)。“橋”はすごい好きな曲で、ミドルテンポの歌ものロックとして完成度が高いですよね。でもマヒルノって、もっとアグレッシブで、ほとんどインストバンドという受け取られ方をしているかな、と思っていて。その意味でデビュー作『辺境のサーカス』は、歌ものバンドとしてのマヒルノの魅力もしっかり出ていて嬉しかったです。

赤倉:ライブだとアグレッシブな曲のほうが反応もいいので、ライブ活動がメインだと、そっちの色が強くなっちゃうんですよね。でも僕らが好きなのはそれだけじゃないから、今回のアルバムで違った面を出せたのはすごいよかったです。僕たち飽きっぽいから、激しい曲ばっかりでも、逆に静かな曲ばっかりでもダメなんですよね。

―飽きっぽいのか! 曲の構成や展開などが複雑なのも、それが理由なんですか?

大竹:いや、先が予想できない感じが好きなんですよ(笑)。

赤倉:関係しているとは思いますけどね(笑)。でも、やっぱり曲としていい曲を作りたいっていうのがあって。ライブがカッコいいのって、演奏とか音圧が重要だったりしますけど、バンドっていうのを離れて、曲だけでもかっこよく聴けるものを作りたいですね。

―マヒルノの個性的な世界観には、どんな背景があるのでしょうか?

赤倉:なんでしょうね。僕はシュールなものが好きだから、楽曲の世界観にしても、どこかしらに妙な違和感があるのは好きですね。ユーモアも大切にしていますし。でもなんか、「古い」って言われたりもするんですけどね。多分、僕のせいなんですけど(笑)。

―古くはないと思いますけど(笑)、プログレとかロックオペラを引き合いに出されたりしていますよね。

大竹:随分玄人ウケするものは持ってるなぁと思いますけどね。

赤倉:僕の家にあるCDって、古いものがほとんどなんですよ。60〜70年代のサイケなポップスとか、ロックとか。新しいのもあるにはあるけど、手に取りやすい位置にあるのはやっぱり古いものなんですよね。

―新しいものを求めないんですか?

赤倉:いや、まだ過去の名作と言われているもので聴けてないものがいっぱいあるっていうのが一番の理由ですかね。

―漠然とした印象論だと、そういう古い音楽に近いのかもしれませんが、サウンドも細かなフレーズにもマヒルノ特有の個性があると思うんです。マヒルノって、みんなで奇声を発してからライブやアルバムがスタートしますけど、あれも一つのユーモアですか?

赤倉:必要に駆られてっていうよりも、悪ふざけですね(笑)。曲を作る段階で何回も演奏して徐々に形を整えていくんですけど、同じこと何十回もやってると、どうなのか分らなくなる時があったりして。そういう時に奇声を試してみたのがキッカケですね。
他のバンドで奇声を発してる人とかいないじゃないですか? メンバーみんな、面白いアイディアは生かしていきたいと思っているから。

―そういう遊び心が随所に散りばめられているのも、マヒルノの聴き所になっていますよね。

赤倉:今作はGOK SOUNDの近藤(祥昭)さんに録ってもらったんですけど、近藤さんが面白いアイディアを色々出してくれて、それが巧くハマったんですよ。よく聴くとわかるんですけど、ほぼ全曲ドラムを違うセッティングで録っていて、びっくりするくらいでかいバスドラムを使ったり、ツーバスになったり、突然タムを5つつけたりとか(笑)。

大竹:機材的な問題もあって自分たちだけじゃ考えつかないアイディアだし、面白かったよね。

赤倉:うん、そうそうたるキャリアを持っている方の凄さを体感しましたね。自分も近藤さんがプロデュースやエンジニアをやってるCDをたくさん持ってて、勝手におっかないイメージを持ってたんですけど、実際お会いしたらとても気さくな方でした。マヒルノのこともしっかり理解していただいて、化学変化がいい形で出てると思いますね。

―すごくいい作品でした。そして、いつも通りのマヒルノがそのままパッケージされていて安心しました。

大竹:そう、基本はライブのまんまですね。

―ライブが本当にカッコよくて、ここまではライブだけで知名度を上げてきたと思いますが、11月に公式盤が出るとまた一気に広がっていきそうですね。

赤倉:それが本当に楽しみですね。それでやっぱり、ライブを観に来てもらえたら嬉しいです。『辺境のサーカス』が出るまでも沢山ライブをやるし、12月にはSHIBUYA O-nestでレコ発イベントを開催する予定なので。

―10月23日のexPoP!!!!!にもご出演頂けるとのことで、よろしくお願いします!

赤倉:よろしくお願いします! 楽しみにしています。

 

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